素麺に懲りてうどんに熱中
私の実家は小豆島伝統の素麺を作っています。けっこう老舗の部類に入ります。今は親父と兄貴が切り盛りしていますが、二男坊の私は学校を出てから、電力会社に就職し、退職後は子どもと一緒に電気工事の仕事をしています。
私が中学校のころ、母校の池田中学校には1学年で200人ほどいました。2学年上からは団塊世代と呼ばれる人たちで、池中全体で700人くらいいたと聞いています。平成26年4月には全体で100人程度になり、内海中学と統合して小豆島中学になりました。
同級生の多くは、就職や進学で関西など県外に出て行きましたが、私は子供のころからずっと小豆島で暮らしたいという考えがありました。就職したのは広島県に本社のある電力会社でしたが、幸運なことに、最初の研修期間以外の大半は地元小豆島で仕事をさせていただきました。
家が素麺業者であるのに、私は素麺が嫌いでうどんが大好きです(笑)。素麺業者だから、そうめんが嫌いになったのかもしれません。子どもの時は、来る日も来る日も素麺を食わされましたから。出汁を付けて食べる普通の冷たい素麺、温かい汁に素麺を入れた素麺汁、素麺を野菜と一緒に油で炒めたものなど、これでもかこれでもかといろんなメニューの素麺が出てきました。食べ過ぎてというか、食べさされ過ぎて嫌いになったのだと思います。
それに引き換え、うどんは飽きませんね。夏など毎日でもいいくらいです。「素麺とうどんは材料も一緒やし、太さが違うくらいで、そんなに変わらんやろと言う人もいますが、私には気持ちの問題があるのだと思います。
小豆島はうどんが高い
ところで、小豆島には全体でも10軒くらいしかうどんの専門店がありません。セルフの店もありますが、高松などと比べると、値段が高いように思います。うどん大に天ぷらといなり寿司の定番メニューだと、高松のセルフ店では500~600円くらいではないですか。小豆島だとそうはいきません。800円から千円近くかかってしまいます。だから、高松の方の人みたいに、週に何回もうどん屋で食べるのは大変です。
勤めに出ている人はどうかわかりませんが、私たちはスーパーでうどんを買ってきて、家で食べていました。最近は質の良い半生麺が売られており、釜揚げやざるなどにして、家でもおいしくいただいています。香川県の知人がよく話す「家でうどんを打つ
ということは、私の周囲では聞いたことがありません。
小豆島の素麺は、家族で小規模に営んでいる業者が多いんですよ。最近は売上も頭打ちで、お盆から祭りごろまで仕事がなくて、製造を辞める人もいるみたいです。製麺の機械を徳島県の業者に売ったという話も耳にします。素麺嫌いの私が言うのもなんですが、小豆島の数少ない産業だけに、なんとか頑張ってもらいたいですね。
●編集部より…小豆島は素麺が強くてうどん文化が弱いと言われますが、素麺を食べ過ぎてうどん好きになったって(笑)。こうなれば、小豆島の子供たちにどんどん素麺を食べさせて「うどん好き」を増やそう! って、何か違うか(笑)。