仏生山の「龍満うどん」で、嫌いだったうどんの美味しさにびっくり
私ね、小さい時からうどんが嫌いで(笑)。善通寺で生まれ育ったんですけど、母親が小豆島の土庄出身だったからか、家では夏に素麺がよく出てきました。けど、それも好きじゃなかった。家で食べる麺類で私が好きだったのは、スパゲティやったんです。だから、小さい時のうどんの思い出と言えば、食堂に行って食べた鍋焼きうどんの記憶しかありません。かけうどんとかそういうのは知らなかったです。
それから高松の仏生山に嫁いだんですけど(昭和40年代)、嫁ぎ先のおばあちゃんなんかから聞くと、お祭りの時はお寿司とうどんが定番。あと、色がついてる天ぷら(笑)。
おうどんを食べだしたんは、子供ができてから。嫁ぎ先の向かいに「龍満」さんっていううどん屋さんがあって、そこで子供におうどんを食べさしてて、自分でもちょっと食べてみたら「あ、おうどんっておいしいんや」って思って。それからぼちぼち食べ出した。
それまではおうどんよりはラーメンの方が好きだったんだけど、ラーメンは最近はほとんど食べません。おうどんの方がいいなと思って。素麺だったら今は小豆島の「甚助」の素麺、あれは好きですね。細いでしょ。冷麦とかの太いのは苦手です。
夏休みには母の出身の小豆島に行くんですが、小豆島のトンネルを抜けた今のエンジェルロードのちょっと西にあった「銀波園(ぎんぱえん)」っていうお店によく行きました。でも、そこでおうどんを食べた記憶はないですね。その頃にはもうおうどんの方が好きになってたんだけど、たいてい素麺を出してくれるから仕方なく素麺を食べよった(笑)。昔は小豆島にはあんまりうどん屋さんいうんは無かったんちゃうんですかね。
セルフうどんの安さにびっくり
うちの父親が第二就職いうか、退職後、高松市の交通安全課に10年くらい行ったんです。その父に聞いたら、「毎日昼ごはんはおうどんや」言うて。毎日食べられるんかなあ…と思ってたんですけど、食べられるんですよね。
それと、仏生山に嫁いできて少しずつおうどんを食べるようになったんですけど、ある時にアイパル香川のそばの「森製麺」さんに入っていったら「セルフサービス」だって、セルフなんて初めてだったのでどうやって食べるかわかんなくて(笑)。それで、見よう見まねで取って食べて、お金を払う時に「え? それ間違ってない?」って、安くてびっくり。
「はなまるうどん」初めて行ったときも、その時105円くらいで。「こんなんで儲かるの?」って思って、それはすごい感動。こんな安くて美味しいの、これはすごい! って感動しました。「龍満」さんのおうどんを食べて「おうどんってこんなに美味しいんや」って感動して、「はなまるうどん」や「森製麺」さんでその安さにびっくり(笑)。
うちのお嫁さん、多度津から来てるんですけど、そのお葬式とか法事に行ったら、先にお寺さんにもおうどんを出すんですね。「じゃあ軽くちょうだいー」みたいな感じでいただくんですけど、あれ、お茶代わりですよね。お寺さんの読経も、それいただいてからでしたね。こちら(仏生山町)の方では全然そういう風習は無かったと思いますよ。
●編集部より…セルフのうどんの段取りと安さには、最初は県内の人もみんな戸惑っていましたね。でも、セルフうどんの登場って、いつ頃なんでしょう。いろいろ取材していると「うちがセルフの最初です」と言ううどん店が数軒あるんですけど(笑)。いずれ、このプロジェクトで解き明かしていければと思っています。