宮武の大将のお父さんから玉を買っていた
- 小さい頃はな、うどん玉は売りに来てた。うちに売りに来てたんは、今はもう閉めてるけど琴平の「宮武」のうどん屋さん、あそこのお父さん。
- 旧「宮武」の大将のお父さんが売りに来てたんですか!
- 自転車の大きな荷台に、うどん玉の入ったせいろを重ねて売りに来てました。僕がちっちゃい頃やけん、昭和30年代の後半から40年代の頭くらいかな。特に農繁期なんて忙しいから、うどん玉を売りに来てくれるのは重宝してましたね。売りに来てもくれてたし、玉買いにも行ってました。
- ご自宅ではうどんは打ってましたか?
- たまにおふくろが打っとったんやけど、印象に残っとるのは打ち込みうどん。うちのおふくろの場合は味噌味だったり醤油味だったりしたかな。野菜ばっかりで、肉も玉子も入ってなかったです。少し大きくなってからは、鍋焼きうどんもおふくろが作ってくれよりました。
元祖宮武の先代が「うどんや」でうどんを習っていた?!
- うちの近所に「うどんや」っていう屋号の家があるんですよ。昔は他に「ろうそくや」いうんもあったし、「だいくさん」いうのもあった。屋号っていっても、僕らの近所だけででそう呼んどっただけかもわからんけどね。「ろうそくや」は昔、ロウソクを作っりょったからそう呼んでたんだろうけど、昔からうどんもやっりょったんと違うんかな。僕が小さい頃には、その「ろうそくや」はもうロウソクは作っりょらなんだ。
- まあ、昔のうどん屋さん屋号はそのあたり、適当だったのかもしれませんね(笑)。
- その「うどんや」に、「宮武」のおっさん、シロウさんっていう人が行ってうどんを覚えて、我んところでうどんを打ちだした。それで、初めはうどん玉を売りにいっきょったんを、自分ところで製麺所として売り始めた。
- ほんとですか!
- うちのおふくろも「うどんや」でうどんを習うてきた。「うどんや」の息子さんとうちの親父が同級生でな。うちの親父が昭和3年生まれやけん、戦後すぐぐらいの話やな(笑)。うちの親父の同級生、カクイチさんいうんやけど、「琴平観光センター」いうんが昔あったん知ってる?
- 今は有料駐車場になってて営業していないところですね。
- そうそう。それで、そのカクイチさんがあそこで長年うどん屋をしよった。観光センターの中の飲食部門のうどん。
法事にはうどん三昧
- 法事の時は、前の日に家の人が親戚やらにうどんを持って行って、「明日、法事しますからよろしく」って案内しよった。それで、明くる日に法事に参ってくれたら、まずうどんですよ。それも湯だめうどんやったな。来た人に順番に「どうぞ」言うて、今で言うコーヒーやお茶を出すタイミングでうどんを。
- お昼のお膳にはうどんは入ってましたか?
- お膳には入ってなかったと思う。
- おみやげにうどんは渡してましたか?
- おみやげは出してましたね。
- 宗派はどちらですか?
- 浄土真宗。必ずうどんは持って帰ってもらいよりました。
印象深いうどん
- 今まで食べた中で一番印象に残ってるうどんって何ですか?
-
そりゃ、伊勢うどんかな(笑)。カルチャーショックだったわ(笑)。
あと、晩の夜食代わりの稲庭うどんっておいしいな。あれはそうめんと似てるかな。
- さぬきうどんとは違ったおいしさがありますよね。
- 釜揚げやったら「香の香」は大好きやけどな。麺は「なかむら」の麺が好きやったけど、あそこの麺もちょっと変わってきたけん。昔はもっと黄色かった気がする。まあ、うどんはその人その人の好みやけん(笑)。