法事の持ち帰りうどんがおいしかった
- 子供の頃(昭和20年代)のうどんの記憶を教えてください。
- おいしかったんは、垂水の親戚の親戚が自分の家で打ったんを法事の時にくれよったうどん。親戚がそこの法事に行った時に、もろうてきたんを分けてくれるん。玉が瑞々しくて干からびた感じがなくて、醤油だけで食べられる。おいしかったわ。
- ご自宅ではうどん打ってなかったんですか?
- 自宅では打ってません。
- ご自宅でうどん食べる時はどんな感じでしたか?
- 米屋さんとかが製麺所から仕入れてるのを売ってたので、そこで買って家でイリコダシ作って食べてました。今は病院になってますからお米屋さんはしてないけど、「ヨネモト」さんていうお米屋さんでゆでたうどん玉を買ってきて。
- 法事ではうどんは出てましたか?
- うちは真言やから出てなかった。
- 普段の生活の中では、うどんはどんな位置づけでしたか?
- お昼はうどんに決まっとったな。商売しよったから、お昼にてっとり早く食べられるうどんって感じやったな。隣の米屋さんで買ってきた玉を自分ちで作ったダシで食べる。乗せるんはネギとショウガとカマボコぐらい。
駄菓子屋でうどんとおでんを一緒にやっていた
- 他に、うどん屋さんとか製麺所は近くにありましたか?
- 麺を作っとるところはあんまり知らんな。
- 普通の家みたいなところで製麺所やってたって話もよく聞きますから、普通の家だと思って通り過ぎてたんでしょうね。
- 当たり前だったけど当たり前でなかったんやな。
- 「うどんと寿司」みたいな食堂タイプが多かったらしいですし。
- うどん食べてお寿司食べよる人おったな。おでんとか。
- おでんもありましたか!
- おでんもありましたよ、前から。私が小学校の時からあったやろうかな。うどん屋さんにあったおでんは、まだ後やったろうか? すぐそこの駄菓子屋さんのとこが駄菓子とおうどんと一緒にしよったお店で、お好み焼きもしたりしよったなあ。中華そばもあった。
- 駄菓子屋でおでんとうどん!
- そういうような店が多かったな。今みたいに「うどん」ってどーん構えていうのは少なかったな。「スミヤ」さんやって、おうどんとアイスキャンデーってしよったもんなあ。おいしかったなアイスキャンデー。ミルクやコーヒーや甘酒やって。
- 駄菓子屋さんでうどんを売っていたというのは当時けっこうあったんですか?
- 駄菓子とおうどんていうのはあったんでないん? そこの「清水」さんところも、駄菓子とおうどんとお寿司とあったで。ようそこへ行って駄菓子買いよった。うちの姪や、大阪から帰ってきたら「清水行ってくる清水行ってくる」いうて何円か持って行きよった。
- うどんをおやつ感覚で食べていたっていうことですかね。
- そやな。あいだで食べる。お昼ごはんにも食べよったけど、あいだでも食べる。
夜泣きうどんと紙芝居の兼業
- 他にこのあたりでうどんについて何かありますか?
- 夜鳴きうどんもきよったな。私らは末っ子やけん、早うに寝とるやん。ほんで起きたらうどん鉢があったりするけん「あ、昨日の晩食べたな」って(笑)。
- 夜なきうどんの屋台はたくさんありましたか?
- 私が知っとるんは一軒や。何軒もは来んわな。「村尾」のおじさん、その人は紙芝居もしよったしなあ。
- 紙芝居とうどんの屋台の両方やってたっていうのは、何だか画期的ですね。
- うどんの屋台は晩で、子供相手の紙芝居は昼やけん。鍋屋さんもおったなあ。わらび餅も来よったし。