香川県民のさぬきうどんの記憶を徹底収集 さぬきうどん 昭和の証言

三木町・昭和26年生まれの女性の証言

栗林公園の掬月亭でうどんの会があった

(取材・文:

  • [showa]
  • vol: 181
  • 2017.02.27

できだちのうどんをダシなしで食べてました

小さい頃、どんなうどんを食べていましたか?
 家で作ってました。ご飯作ってくれる人がいて、その人がおうどんも打ってくれてたんですけど、私、おうどんのできだちを食べるのが好きで、おダシも何もつけずにこうやって食べるのが好きだった。ほんとおいしかったですよ。井戸水をポンプで汲み上げて、できたおうどんを洗ってました。こういう板があって、おうどんを打って、切って、お水でさらして、そういうできたてを食べていたので、私、おダシなしでも食べてました。
できたてっておいしいですよね。うどんをお店に買いに行ったりはしてましたか?
 高松市番町に町宅があった時には、同じ番町にあった「源芳(げんよし)」っていうおうどん屋さんによく行ってました。土曜日なんか、学校が半ドンで、ざるを持って何玉って買いに行ってたんですよ。1玉10円か20円くらいだった。こちらもやっぱ、おいしかったですよね。何て言うか、おダシがいらないくらいおいしかった。

 おダシはインスタントじゃなくて、母がおコブとお煮干しで出してました。玉を買いに行く前にお煮干しの中をのけて、おダシをとってる間に私が源芳に行って、玉が入ったザルを抱えて持って帰る。

 私、子供の頃は身長が低かったんだけど、今は私の年齢としてはまあまあ大きい方なんです。牛乳は飲めなかったんですけど、そのダシを出したお煮干だとかおコブを食べさせてもらってたから、カルシウムがとれてたみたい。あれのおかげで背が伸びたのかなー、という感じがしますね(笑)。

 あと、仏生山の辻の角に「リュウマン」っていううどん屋さんあったんですが、そこも時々行きました。

栗林公園で行われた、著名人の集まるうどんの会

こちらの写真について聞かせていただけますか?

掬月亭で行われていたうどん会の記念写真。

 たまたま何年か前に、三木町の渡邉(毎週木曜のみ営業の三木町にある古民家カフェ渡邊邸)を片付けした時に白黒の写真が出てきたんですが、それを見た91歳の母が「これうどんの会してたんよー栗林公園の掬月亭で」って言うんです。昔、栗林公園の掬月亭は料亭だったんですって。で、それは県のものではなくて、名前はわからないけど料亭が長く居続けてて、そこで松平頼明さんを発起人に「うどんの会」っていうのをやったんです。これがその時の記念写真。私がまだ小学校の3~4年、昭和33年頃です。

松平頼明さんというと、今の高松松平家の先代の方ですね。
 掬月亭の松の下で写した写真なんですけど、もう著名な文化人ばっかりですよ。草薙金四郎さん(元香川県立図書館長・郷土史研究家・故人)とか、新聞記者とか、みなさんお着物で。

 そういう方々は皆さん、結構「お茶」をやってたんですよ。そこから交流して情報交換していて、そこに金子知事とかそういう人たちも来ていました。今みたいネットがあるわけじゃないから、喫茶店行ってコーヒー飲みながら情報交換。お互いが「こんなとこがあるよ、昔はこんなんだったよ」っていうような話をすごくしてたんです。コーヒーを飲みながら。

  • TAGS: 
  • 関連URL: 

ページTOPへ