香川県民のさぬきうどんの記憶を徹底収集 さぬきうどん 昭和の証言

高松市栗林町・昭和35年生まれの男性の証言

おふくろがうどん玉にソースかけて食べていた!

(取材・文:

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  • vol: 156
  • 2016.11.17

 小さい頃は、近所のうどん屋というか製麺所に、よううどん玉を買いに行かされよりました。今みたいにきれいなステンレスのシンクでなくて、コンクリで四角く固めただけの流し場に水を張って、そこに直接、茹でたうどんを放り込んで冷ましてた。ばあちゃんがみそ汁の椀で一玉ずつ計って、今のレジ袋みたいなんに直接、玉入れて渡してくれてました。

 それを持って帰って、うちのおふくろは醤油かソースかけて食べてたな。ウスターソース。冷たいうどん玉に、具も何もなしで、ソースだけかけて。あれ、おいしかったんかなぁ。家もその製麺所も中央通りをはさんで栗林公園の向かいにあったんやけど、道路の拡幅で立ち退きになって、今はもうありません。

 親父はうどんが好きで、国分寺の「みしま」とか、飯山の「きむら」とかまで食べに連れて行ってくれた。その頃はもちろん、行列なんかできてなくて、のんびりしてましたよ。

 高校生の時(昭和50年頃)は、年にいっぺんだけ、大晦日にうどん屋にバイトに行ってた。12月30日の昼過ぎに行くとね、「まあうどん食べまい」いうてうどん出してくれるんですよ。それ食べてから、うどんの生地を踏む。あの丸い団子にビニールかけたやつね、あれを何個も何個も、延々と踏む。

 晩飯もうどん。夜中までやって、朝方にちょっと仮眠して、起きたら「うどん食べまい」いうてカレーうどん出してくれるんですわ、朝から。それからまた生地踏む。生地を伸ばして切るんは店の人がやるけん、バイトはただ生地踏むだけ。昼飯にまたうどん食べさせてもろて、昼過ぎまでやって終わりですわ。あの頃、時給400円くらいの時代に、一晩やって1万円ちょっともろた。ええバイトでしたわ。高校の三年間、毎年行きました。

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