僕が中学生の頃やから50年くらい前か、丸亀の通町にあったうどん屋「須美や」。丸亀の街中でうどん屋いうたら、当時はみんなそこに行きよったんちゃうかな。学校の帰りによう寄ってて、中学生でも食べられる値段やから、かけうどんが30円くらいやった。
だしの味が独特でね。イリコだしやったと思うけど、魚の臭いでなくて、材木をカンナで削った時に、さーっと木の香りがたつでしょ? あんな感じやったと思う。まずいんでなくてね。あれは家では作れん味やったんで、今でも覚えてる。うちの母が「あれはどんなダシとっとんやろな」て言うてたわ。
うどん運んでくる時に、おばちゃんの指がよう丼の中に入ってて、「おばちゃん、指入ってる!」言うたら「大丈夫や、熱うない」言うてな、笑い話みたいなんがほんまにあったんで。息子さんの代になって店の場所が変わって、今でもしよるけど、だしの味が違うなぁ。あの味は出せんのちゃうかな。