さぬきうどんのメニュー、風習、出来事の謎を追う さぬきうどんの謎を追え

vol.68 新聞で見る讃岐うどん

新聞で見る平成の讃岐うどん<平成22年(2010)>

(取材・文: 記事発掘:萬谷純哉)

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  • vol: 68
  • 2023.08.21

世の中は不況の真っ只中、でも「讃岐うどん巡りブーム」は絶好調

 平成22年(2010)の日本は前年に起こった「リーマンショック」の影響が“末端経済”の現場にまで広がってきて、深刻な不景気の様相を呈してきました。アメリカ発のサブプライムローンの不良債権を抱えた金融機関があちこちで苦境に陥り、キャッシュがショートした多くの銀行が“貸し渋り”と“貸し剥がし”に走り、その結果、企業にお金が回らなくなり、雇用が減り、所得が減少し、消費が低迷する…という負のスパイラルが、日本全国で表面化してきました。県内の観光・レジャー業界では「ニューレオマワールド」の経営権がそれまでの「テーブルマーク」(旧加ト吉)や「おもちゃ王国」の共同経営から「大江戸温泉物語」に移るという出来事がありましたが、これも不況による経営統合の一環と見られています。

 しかし、そんな不況を尻目に、「瀬戸大橋休日1000円」の激安キャンペーンが2年目に入った「讃岐うどん巡りブーム」は絶好調が続いています。旅行業界は「海外旅行より国内旅行、国内旅行もできれば近場で」という「安・近・短」の傾向がさらに強くなってきましたが、それが逆に「安くて近くて日帰りOK」の「讃岐うどん巡り」に追い風になったようで、人気うどん店は週末や連休を中心に大行列が続いています。「世の中は大不況、しかし讃岐うどんは大盛況」という、なかなか珍しい状況です。

「瀬戸大橋1000円」効果は前年を上回る勢い

 ではまず、ゴールデンウィークの「うどん巡り客」の様子をレポートした記事から見てみましょう。 

(5月11日)

県内のうどん店 観光客らで盛況 高速値上げで駆け込みも

 ゴールデンウイーク(GW)期間中、県内の有名うどん店には連日、朝早くから本場の味を求める観光客の長い列ができた。根強い讃岐うどんブームや6月からの高速道路の新料金導入を前にした駆け込み需要もあり、各店とも軒並み盛況となった。

 綾川町の「山越」には、ピークの3日には約3200人が訪れ、約6600玉を完売した。連休中には開店時間を1時間早め、警備員や店員を増員した。「なかむら」(丸亀市飯山町)では、早い人で開店3時間前の午前6時ごろから並び始め、普段よりも多く用意した玉が午後1時頃には売り切れた。近畿圏を中心に、新潟、大宮、福岡など、遠方の車両ナンバーが多く見られた。山内うどんの店主の山内鉄也さん(39)は「GWは毎年忙しいが、6月には高速道路料金の上限1000円の大幅割引がなくなるとあって、今年は特に駆け込みで来た人が大勢いた」と話した。…(以下略)

 前年のゴールデンウィークに「1日に約3200人、約6000玉」という数字が掲載された「山越」ですが、この年は「1日に約3200人、約6600玉」とありました。これは「1人平均2玉以上」という計算になりますが、ゴールデンウィークの客の大半は「1人1玉」で何軒も回る人たちですから、この記事は人数か玉数のどちらかが間違っていると思います。しかしいずれにしろ、かつては食べに来るお客さんが1日10~20人だった(「山越」のおばあちゃん談)田舎の製麺所に1日数千人が押し寄せるという凄まじさが続いています。

 ちなみに、「6月からの高速道路の新料金導入を前にした駆け込み需要もあり…」とありますが、実際に「高速道路1000円」が終わったのは翌平成23年(2011)の6月19日のはずで(平成23年の新聞記事に出てきます)、そのあたりの事情が新聞からはちょっとよくわかりません。元々この年の6月までの計画だったのが何かの理由で割引キャンペーンが1年延びたのか(それならどこかで「瀬戸大橋1000円、1年間延長決まる!」とかいう記事が出てくるはずですが、そんな記事は出ていませんでした)、あるいはこの年の6月に割引率が一段階戻って翌年に全面終了したのか。まさか、記者が割引終了を1年勘違いして記事を書いたのではないと思いますが(もしそうなら「山内」の鉄ちゃんのコメントも言わされたか捏造かという話になりますが・笑)、ちょっと謎です。では、この年のうどん関連記事を拾っていきましょう。

全国のコンビニやスーパーが「年明けうどん」商品を販売

 まず、元日から「年明けうどん」の記事が出ていました。

(1月1日)

年明けうどん、早くも全国区 商標使用300業者 県内関係者「ここまで広がるとは」

 「さぬきうどん振興協議会」が2008年に提唱し始めた「年明けうどん」の商標使用を、42都道府県の約300業者が申請、登録していることが31日、分かった。2009年に続く2回めの正月に向けコンビニやスーパーが全国販売に乗り出し、カップ麺も発売された。申請、登録業者は11月下旬時点から約1カ月で2.4倍に増えており、地元関係者は「ここまで広がるとは」と驚いている。…(中略)…

 協議会によると、「年明けうどん」の商標登録を協議会に申請、登録したのは12月29日時点でうどん店や製麺会社、スーパー、食品メーカーなど296業者。「日清食品」は12月に「日清どん兵衛年明けうどん」を北海道を除く全国で販売。…(中略)…レンジで温めて食べる年明けうどんを元日から販売する「サークルKサンクス」も「低価格で消費者も手を伸ばしてくれるだろう」と期待する。高松市の「石丸製麺」が、年越しそばと組み合わせて販売したセットも贈答用に人気。県内で年明けうどんを提供するうどん店は、前回の52店から2倍超の約130店に増加する。…(以下略)

 「年明けうどん」の商標使用を申請してきた業者は、平成21年(2009)11月25日時点で123社でしたが(「平成21年」参照)、その約1カ月後の12月29日時点で296社に急増したとのこと。「日清どん兵衛年明けうどん」は香川県内でも「年明けうどんが『どん兵衛』になった」と、ちょっと話題になりました。ただ、「年明けうどん」は「1月1日~15日」という触れ込みなので、マーケティング的には「1年365日のうち350日は関係ない」という、非常に「スポット的」で、あまり大きな売上増には結びつかない商品ではあります。

「さぬきの夢2000」が農水省の「フードアワード」で優秀賞を受賞

 農水省が食料自給率向上に貢献した企業や団体などを表彰する「FOOD ACTION NIPPONアワード2009」で、「さぬきの夢2000」を開発普及させた香川県が優秀賞を受賞しました。

(1月17日)

フードアワードで県が最優秀 さぬきの夢2000開発 農水省企画 食料自給率向上に貢献

 食料自給率向上に貢献した企業や団体などを表彰する「FOOD ACTION NIPPONアワード2009」の研究開発・新技術部門で、讃岐うどん用小麦「さぬきの夢2000」を開発、普及した県が優秀賞を獲得した。このほど、東京都内で表彰式があった。同表彰は、農林水産省が2008年度に立ち上げた「食料自給率向上に向けた国民運動推進事業」の一環として初めて企画。昨夏に募集したところ、4部門に計1204件の応募があり、45件が表彰を受けた。…(中略)…

 県は、1991年からうどんに最適な小麦の品質改良に着手。讃岐うどんの特長であるなめらかさやコシ、色合いなどを見分ける独自の効率的な選抜方法を開発し、2000年には「さぬきの夢2000」の開発に成功。その後は普及に努め、県内で生産されるうどんのうち、県産小麦が占める割合は01年の約2%から、08年には約5%まで向上した。…(以下略)

 「さぬきの夢2000」が受賞したのは研究開発・新技術部門で、記事によると、「うどんのなめらかさやコシ、色合いなどを見分ける効率的な選抜方法を開発し、その技術を使って『さぬきの夢2000』を開発して普及させた」ことが評価されたようです。

「さぬきの夢2009」の販売開始

 そして、その「さぬきの夢2000」の後継品種に選ばれた「さぬきの夢2009」が初めての収獲を迎え、11月から販売されることになりました。

(5月29日)

「さぬきの夢2009」、11月から販売 ブランド化へ戦略

 県が開発したうどん用小麦「さぬきの夢」の普及促進策などを協議するプロジェクトチーム検討会が28日、県庁で開かれ、新品種の「さぬきの夢2009」の一般販売を11月から一部で始めることなどを申し合わせた。…(以下略)

 「さぬきの夢2009」の販売が始まった11月、四国新聞が「さぬきの夢2000」~「さぬきの夢2009」の経緯を簡単にまとめていました。

(11月21日)

うどん人気盛り上げ期待 「さぬきの夢2009」流通始まる 「究極の味」に挑戦も

 うどん店での流通が始まった「さぬきの夢2009」。毎年植え付ける2000種の交配種の中から選び抜かれ、開発にあたった県農業試験場が自信作と胸を張る県産小麦の新品種だ。…(中略)…

 県内で消費されるうどん用小麦の約85%がオーストラリア産の小麦「ASW」とされる。「県産小麦でうどんを」との業界などからの切実な声に押され、県農試が1991年から品種改良に着手した。その成果として、2000年に、待望のうどん用の県産小麦「さぬきの夢2000」が誕生したわけだが、実は2000誕生の前から後継品種の開発が既に始まっていた。…(中略)…

 2000は、普及するにつれ、うどん店から「コシが弱い」「切れやすい」など、扱いにくさを指摘する声が多く寄せられるようになった。開発チームは、そうした欠点をカバーするため、タンパク質から形成され、うどんのコシにつながるグルテンの強さに着目し、後継種の選定にあたった こうした品種の絞り込み作業で、2000の後継候補となる1品種が決まったのが2006年。そこから3年、実際の畑での試験栽培を経て、昨秋、晴れて2009が誕生した。

 2009を使ったうどんを出すさぬき麺業の香川政明社長は「2000が普及しなかった一番の要因は扱いにくさ。2000は釜を混ぜられないくらい切れやすかったが、2009は格段に改善されている。これはいける」と手応えを感じている。…(中略)…

 2000は、ASWに比べ、製粉会社が仕入れる買い取り価格で1.5倍高いという。2009も2000程度の値段になる見込みで、品質が向上したとはいえ、価格ではまだまだASWに分がある。しかし、開発チームの藤田主任研究員は「当初、『追いつけ、追い越せ』と目標にしてきたASWは既に目標でなくなった」とはばからない。ASWの最大の特徴であるコシや粘りは数値で表せ、遺伝子研究が進んだことで、交配の中である程度コントロールできるようになった。近い将来、ASWと同じようなコシや粘りを再現できることは可能という。…(以下略)

 「さぬきの夢」の開発の経緯はこれまでに何度か新聞に出てきましたが、ここにきて「さぬきの夢」の開発の流れは、

(1)「県産小麦でうどんを」との業界などからの切実な声が上がる。
(2)それを受けて、県農業試験場が1991年から県産小麦の品種改良に着手する。
(3)2000年に「さぬきの夢2000」が誕生する。
(4)「さぬきの夢2000」に「コシが弱い」「切れやすい」などの扱いにくさが指摘される。
(5)それらの欠点を解消するために2006年に後継品種が選ばれる。
(6)2009年に「さぬきの夢2009」が誕生する。

というストーリーでほぼ確定したみたいです(少なくとも記事はそういう書き方をしています)。ただし、このうち「着手」や「誕生」等の年は確定的なファクトですが、それ以外の部分は不確定で、むしろちょっと怪しいかもしれません。

 例えば、「“県産小麦でうどんを”との業界などからの切実な声が上がる」とありますが、筆者の知る限り「業界などから切実な声が上がっている」のをあまり聞いたことがありませんし、過去の新聞にも「業界から県産小麦開発の要望が上がっている」という記事は見当たりません。唯一、識者等がコラムやインタビューで「豪州産小麦に席巻されているのはいかがなものか」「県産小麦で作ったうどんこそが本物の讃岐うどんだ」といったコメントをしていましたが、それもほとんどは1990年代後半の「讃岐うどん巡りブーム」が勃発してからのことなので、やはり「業界からの切実な声で県産小麦の品種改良(『さぬきの夢2000』の開発)に着手した」というストーリーにはちょっと無理があります。

 また、「開発チームはそうした欠点をカバーするため…後継種の選定にあたった」とあるのは「夢2000」の欠点が「夢2009」の開発につながっているように受け取れますが、同じ記事の中に「実は2000誕生の前から後継品種の開発が既に始まっていた」という記述があって、つまりそれは「『夢2000』の欠点が表面化する以前から『夢2009』の開発が始まっていた」ということですから、このあたりのストーリーも整合性がちょっと怪しくなってきます。

 また、最後の段落では「ASWは既に目標でなくなった」とあるのに、すぐその後で「近い将来、ASWと同じような腰や粘りを再現できることは可能…」とあって、何を目指しているのかが曖昧な表現になっていたり(「できることは可能」という日本語も怪しい)、「2009」の後継もさらに開発されるのに、冒頭に「自信作と胸を張る…」と書いたり(「夢2000」が出た時に褒めちぎったのと同じテンションですね)、ちょっとこの記事はいろいろとクセ者かもしれません(笑)。

 しかしそれにしても、「夢2009」が出た途端、「夢2000」はかなり酷評されていますね。確か、「夢2000」が出た当初は関係各所や識者等から高評価のコメントが相次ぎ、マスコミもこぞって「悲願が達成された」ともてはやしていたはずですが。また、現場から「切れやすい」「コシが落ちるのが早い」という指摘が出ても「ASWより小麦の香りが立つ」「風味が抜群」等のポジティブな意見がそれを上回っていたし、さらに、「夢2000」の普及推進プロジェクトチームを組んだり、「夢2000こだわり店」の認証をしたり、数々のPR作戦も展開してきたはずなのに、ここにきて「夢2000」を擁護する声はほとんど聞こえなくなりました。さらに、記事によると「さぬき麺業」の香川社長からは「釜を混ぜられないくらい切れやすい」という、うどん粉として成立していないかのような言われ方をされていますが、いかに新品種を持ち上げるためとは言え、あまり「夢2000」をボロカスに言うと「じゃああの時、みんなで“失敗作”を褒めちぎっていたのか?」という話になってしまいます。

 「さぬきの夢」については、研究開発者の努力は農水省から研究開発・新技術部門で表彰されるほど高く評価されるものですから、その周辺の関係各所や識者やマスコミ等がちょっとはしゃぎすぎて、辻褄の合わないことがいくつか出てきてしまったのではないか…という気もしますが、どうでしょう。しかしいずれにしろ、県産小麦はここから、「さぬきの夢2000」の欠点を改良した「さぬきの夢2009」の時代に入っていきます。

さぬきうどん協同組合が「本場さぬきうどん」のロゴを商標登録へ

 「さぬきうどん協同組合」が「本場さぬきうどん協同組合」に名称変更し、「本場さぬきうどん」の名称入りロゴマークを作って商標登録を申請しました。

(7月2日)

「本場さぬきうどん」商標申請 協同組合、ブランド維持図る

 県内の製麺所やうどん店などでつくる「さぬきうどん協同組合」(大峯茂樹理事長)は1日、「本場さぬきうどん」の名称入りのロゴマークの商標登録を特許庁に申請したと発表した。県外で「さぬきうどん」をうたった店が増えているため、県内業者に「本場」のマークを使用してもらうことで消費者が区別できるようにし、ブランドの維持を図る。

 商標登録されると県内のうどん店や製麺業者がマークを使用できる他、県内業者が県外に出店した場合や、県内業者からのれん分けされた県外業者も同様に使えるようにする。「さぬきうどん」は一般名称との理由で難しいとされる地域ブランド(地域団体商標)登録も、本場の商標の使用実績を重ねることで将来的に目指す。

 ロゴマークは同組合が使用中のマークに「本場」の文字を加えた。「協同組合」の文字入りと、非組合員でも使えるように文字が入っていないタイプの2種類を申請した。同組合は県内のうどん店や製麺所85業者が加盟。申請に先立ち名称を「本場さぬきうどん協同組合」に変更した。大峯理事長は「『さぬきうどんの看板を掲げた県外の店で食べたら、香川のうどんではなかった』などの苦情が多く寄せられている。消費者に誤解を与えないよう、本場のさぬきうどんを広めていきたい」と話している。

 背景として、「ブームで県外に『讃岐うどん』を名乗る“まがい物”が増えている」という憂慮があるとのこと。この頃はすでに、県外資本の企業が「讃岐釜揚げうどん」を掲げて「丸亀製麺」という店を全国展開したり、「讃岐釜揚げうどん・伊予製麺」という「讃岐か伊予かどっちだ?」といううどんチェーンが県外で店舗展開したりしていましたが(笑)、そんな目立つチェーン店以外にも全国至るところで、讃岐うどんと全く関係ないのに「讃岐うどん」を掲げる店が後を絶たなくなっていて、それが良くも悪くも話題になっていました。

 しかし、讃岐うどんに限らず、そうした「ブームに乗っかる」という動きはなかなか法的に取り締まるというわけにもいかず、概ねは「仕方ない」とあきらめざるを得ないところ。そこで、組合が「県内業者に商標ロゴを与えて差別化を図る」という作戦に出たというわけです。ただし、その成果のほどは「客次第」ということでしょうか。

台湾企業の「さぬき」の商標登録に「無効」の決定が出る

 台湾の大手冷凍食品メーカー「南僑化学工業」が「さぬき」という言葉を商標登録していて、台湾のうどん店「土三寒六」に「『さぬき』の看板を下ろせ」と通達してきたことに対し、「土三寒六」のオーナーの樺島さんが商標登録の無効を求めて裁判を起こしていましたが(「平成20年」「平成21年」参照)、台湾当局が南僑化学工業の商標登録に対し、「無効」の決定を出しました。

(12月9日)

「さぬき」商標登録無効 台湾知財局 商品使用の4件

 台湾の冷凍食品会社が「さぬき」の名称を商標登録していたことに対し、台北市のうどん店経営、樺島泰貴さん(38)が商標登録の無効を求めた裁判で、台湾知的財産局が8日までに、スーパーなどで販売する商品に使用される4件の商標登録を無効とする決定を出していたことが分かった。県内などで修業した樺島さんは、2006年に台北市に出店。台湾の冷凍食品会社が「さぬき」を商標登録したため「さぬきうどん」の看板取り下げを余儀なくされたことを不服として、08年4月に商標登録無効を求める審判を申し立てていた。

 樺島さんによると、同局は、台湾と香川の訪問交流が長年行われていることなどを挙げ、「台湾の消費者は『さぬき』がうどんの生産地で有名な日本の地名だと認識しており、産地を誤認させる恐れがある」と判断。11月30日までに「讃岐」「サヌキ」「SANUKI」「さぬき」の4件の商標登録は無効と決めた。食品会社が1カ月以内に行政裁判を起こさなければ無効が確定する。ただ、飲食店の看板などで使用する商標10件については決定が出ておらず、樺島さんは「3年間の苦労が報われたが、4件の結果が先に出ただけ。今回の決定が前例となり、いい影響を与えてくれれば」と話した。…(以下略)

 記事によると、樺島さん側の全面勝訴というわけではなく、「一部について主張が認められた」ということのようですが、とりあえず一歩前進という形になりました。しかし、まだ全面勝訴には道半ば、しかも今回認められた4件も相手側が控訴してくる可能性もあり、予断は許しません。

乾麺を飼料にした豚肉の商品化が始まる

 2年ほど前から県が「うどんやオリーブを飼料化する研究」を進めていましたが(「平成20年」参照)、このたび、「七星食品」が乾麺を「讃岐夢豚」に与えて育てた豚の商品化に取り組むことになりました。

(4月23日)

うどん食べて肉質向上 七星食品、「讃岐夢豚」の販路拡大へ 余剰乾麺を有効活用

 養豚業や豚肉販売の七星食品(さぬき市)は、県内の製麺工場で発生する余剰の乾麺を飼料に混ぜ、県特産の「讃岐夢豚」に与えて育てた「讃岐うどん夢豚」(仮称)を商品化し、販売強化に取り組む。県特産の「夢豚」とうどんの組み合わせという話題性だけでなく、うどんを食べさせることで豚肉の肉質が向上する効果がある。今月にリサイクル飼料の国の認証を取得し、今後、精肉店やスーパーへの販路拡大を図る。…(中略)…

 乾麺を与えた「讃岐夢豚」の肉質は、赤身にバランスよく入った「サシ」と呼ばれる脂肪の量が増加。このため肉のうまみや軟らかさが増したという。昨年12月から乾麺を給餌した「讃岐夢豚」の販売を開始し、4月には一定基準を満たしたリサイクル飼料を認定する国の「エコフィード認証」を得た。飼料の安全性について公的な評価が得られたことで、精肉店やスーパーへの売り込みを強化していく。今後、正式な商品名を決める。…(以下略)

 商品の仮称は「讃岐うどん夢豚」で、「正式な商品名は今後決定する」とあります。今日、「讃岐うどん夢豚」という商品は出回っていないみたいなのですが、どうなったのでしょう。

「おか泉」の大将が豪華クルーズ船「飛鳥Ⅱ」の招待シェフに選ばれる

 豪華クルーズ船「飛鳥Ⅱ」が、船内で提供する料理の一つに「讃岐うどん」を採用。そこでうどんを振る舞う招待シェフに、「おか泉」の大将が選ばれました。

(5月20日)

世界のセレブに讃岐うどん 豪華客船の招待シェフに 「最高の味提供」おか泉社長 来月16日間 NYからアカプルコ

 世界のセレブにうどん接待。100日以上かけて世界一周する豪華クルーズ船「飛鳥Ⅱ」の招待シェフに、宇多津町のうどん店「おか泉」の社長岡田文明さん(52)が選ばれた。乗船は6月3日から16日間で、企画会社によると、県内のうどん職人を招くのは初めて。岡田さんは「足踏み熟成を繰り返して、手打ちで仕上げる讃岐うどんを世界に広める絶好の機会。香川代表という気構えで最高の、本物の味を提供したい」と意気込んでいる。

 「飛鳥Ⅱ」は約5万トンの巨大客船で、乗員約470人、対応乗客数800人。郵船クルーズ(東京)が企画して毎年運行している。旅費は最高級客室で1人2500万円。今回は4月4日に日本を出港、20カ国・地域の計27港に寄り、7月16日に帰国する行程。現在はポルトガルに向かっている。岡田さんの乗船は米国ニューヨークからメキシコ南西部アカプルコまで。昼夜の食事で600食分を計5回用意するハードな日程という。

 讃岐うどん人気から依頼を受けた岡田さんは「唐突すぎて少し不審に思ったほど」と笑う。それでも、乗船を決めてからは体力作りや同船の和食スタッフ20人との打ち合わせなど、入念な準備を進めてきた。「店と同品質のものを提供する。使命感に燃えている」と職人歴34年目の岡田さん。出発は6月2日。5月31日には、高木副知事や谷川町長らが出席し壮行会も予定されている。

 実はこの件に関して、筆者も「飛鳥Ⅱ」の担当者から相談を受けたのですが、担当者の方が「食べ歩きをした結果『おか泉』を選んだ」と聞いて、大賛成しました。讃岐うどん巡りブームは田舎の製麺所型の店から起こりましたが、セレブな方々が集まる豪華な旅には、やはり「一般店」の最高峰の店がふさわしいと思いましたので。ちなみに、壮行会には筆者も出席して、拙い祝辞を述べてきました(笑)。クルーズの模様は今、「おか泉」の店内でエンドレスで流されています。

高松空港に「うどんダシの出る蛇口」が設置される

 高松空港に「空の駅かがわ」がオープンし、そこに「うどんダシの出る蛇口」が設置されました。

(7月14日)

香川まるごとPR 高松空港「空の駅かがわ」オープン うどんだしの蛇口設置 全市町の特産展示も

 県内各地の特産品や観光地をPRする常設展示コーナー「空の駅かがわ」が13日、高松空港にオープンした。各市町自慢の食品などを紹介する展示コーナーや、かけうどんのだし汁が出る蛇口などがあり、旅行者らに香川ならではの魅力をアピールしている。

 県外の利用者が多い空港を活用し、香川の情報発信をしようと開設。県と全市町、高松空港ビルが年間約500万円かけて運営する。「空の駅」では、果物や菓子、伝統工芸品などの特産品計104品目を各市町ごとに展示。展示棚の上にはモニターがあり、観光地や祭りなどの行事をスライドショーで紹介している。また、奥のスペースには、うどんのだし汁が試飲できるよう蛇口を設けた。蛇口をひねると温かいだしが出てくる仕掛けで、毎日200人分が用意される。…(以下略)

 讃岐うどん巡りブームの中で「香川の水道は蛇口からうどんのダシが出る」という“ない話”がネタにされたりしていましたが、そのネタを逆手に取ったのかどうか、こんなギャグが空港に登場。一応、「香川の“珍百景”」として、全国にちょっとだけ知られるようになりました。ちなみに当時、「愛媛の水道は蛇口からポンジュースが出る」というネタもありましたが、こちらも松山空港で「ポンジュースが出る蛇口」が設置されています。ただし、うどんダシは無料ですが、ポンジュースは有料です(笑)。

高松市の南新町に大衆セルフ店が続々オープン

 高松市の南新町商店街に、大衆セルフ店の「たも屋女道場」と丸亀の「綿谷」の高松店が相次いでオープンしました。

(12月10日)

讃岐うどん「商店街の陣」 人呼ぶ麺ロード 高松・南新町出店相次ぐ

 高松市の南新町商店街にこの半年間で讃岐うどんの人気店が相次いでオープンし、昼時にサラリーマンらでごった返している。同市中央商店街では近年、うどん店が急増。相乗効果で新しい人の流れを呼び起こし、商店街活性化の牽引役となっている。

 南新町商店街では8月18日に「たも屋女道場」、11月5日に「麺処綿谷」の高松店がオープン。近隣には全国チェーンのセルフ店や老舗の一般店、スーパーが経営するセルフ店などがひしめき合い、同市中心部で屈指のうどん店激戦地の様相を見せている。…(以下略)

 これで、すでに営業中の「はなまるうどん」と合わせ、3つのファストフード型の大衆セルフ店が集結することになり、南新町がにわかにうどん店の激戦区の様相を呈してきました。ファストフード型の大衆セルフ店というのは押し並べて一般店より席数も多く、客の回転も速いため、たいていの場合、1つの大衆セルフ店で一般店数店分の客を捌くキャパシティがあります。従って、これは単に「うどん店が2軒オープンした(増えた)」というレベルの話ではなく、うどん店以外の飲食店にも少なからず影響が出たようです。ちなみに、同じ南新町には平成28年に「さか枝」、平成29年に「一福」が出店し、第二次の「南新町大衆セルフうどん店ラッシュ」が起こりました。

「七宝具うどん」、「島巡りうどん」が登場

 この年は、新しいうどんメニューやうどん関連商品、うどんと食材のコラボといった話題がいくつも新聞に載っていました。まず、東かがわ市青年会議所が地域ブランドづくりの一環で「七宝具(しっぽぐ)うどん」なるものを考案し、同会議所主催の「どんと恋祭」で2000食を振る舞いました。

(9月21日)

うどん2000食振る舞う 盛大に「どんと恋祭」(東かがわ)

 東讃の秋を彩る「第2回どんと恋祭」(東かがわ青年会議所主催)が19日、東かがわ市西村の「とらまる公園」で開かれた。大鍋で煮込んだしっぽくうどん「七宝具(しっぽぐ)うどん」が2000人分振る舞われた他、手袋投げ大会などユニークなイベントが次々と繰り広げられ、終日大勢の家族連れらで賑わった。…(中略)…今年の目玉は地域ブランドを創り出そうと、同会議所が考案した「七宝具(しっぽぐ)うどん」。…(以下略)

 記事には「七宝具うどん」の内容が書かれていませんでしたが、調べてみると、のちに「さぬき市と東かがわ市の4種類以上の素材を含む7種類の具(薬味含む)を入れたもの」という条件で「七宝具うどんコンテスト」が行われていましたので、そういうメニューのようです。ちなみに、2023年の「どんと恋祭」の主なプログラムの中に「七宝具うどんコンテスト」は見当たりませんでした。どうも「七宝具うどん」は地域ブランドとして発展しなかったようです。

 続いて、香川県物産協会がイベントメニューで「島巡りうどん」を販売したそうです。

(10月2日)

「島巡りうどん」いかが 芸術祭盛り上げへ サンポート高松で今日、明日販売

 県物産協会とさぬき麺業は、瀬戸内国際芸術祭の会場となっている県内の島々の特産品を使ったぶっかけうどん「島巡りうどん」を作った。2、3の両日、高松市サンポートの高松シンボルタワーで開かれるイベント「市町の日」で限定販売する。芸術祭を盛り上げようと、県物産協会がさぬき麺業に依頼。うどんに直島の天日塩「直島太陽塩SORASHIO」、つゆに小豆島産のしょうゆを使い、豊島の無農薬レモンと高松の細天を添えた。…(以下略)

 これも「地元の具材を使ったうどん」という、「七宝具うどん」と同じ発想のメニューですが、こちらは2日間だけの提供。せっかくの「島巡りうどん」という素材なのに、ここから展開するつもりはないようです。

「さぬきうどんバーガー」のコンテスト開催

 穴吹エンタープライズが、うどんを使った「ご当地バーガー」のコンテストを開催しました。

(11月23日)

うどんバーガー誕生 来年1月中旬から商品化

 うどんを使ったご当地バーガー「さぬきうどんバーガー」の開発を目指したコンテストが22日、高松市内のホテルであり、旅館くらしき(倉敷市)の和食調理担当・山辺直哉さん(24)が考案した「醤油饂飩バーガー」が最優秀に輝いた。同バーガーは商品化され、来年1月中旬から高松自動車道津田の松原サービスエリアで販売される。

 ご当地バーガー人気にあやかろうと、穴吹エンタープライズが開催。同社が運営する各ホテルから事前審査を勝ち抜いた6人が出場し、自信作を披露。簡単に調理できることや販売価格450円を想定するなどの条件に沿って作品を審査した。最優秀の「醤油饂飩バーガー」は、県産レタスの上に鶏肉のハンバーグと目玉焼き、さらにしょうゆタレを絡めたうどんと薬味のネギ、ショウガ、カツオブシを乗せてバンズで挟んでいる。…(以下略)

 
 翌平成23年(2011)1月に発売されてちょっと話題になった「さぬきうどんバーガー」ですが、アイデアは一般公募ではなく、穴吹エンタープライズが運営するいくつかのホテルの調理部門からの発案でした。

「うどんを混ぜたハンバーグ」と「うどんを使った恵方巻き」も登場

 続いて、お店が考案した“うどんアレンジメニュー”があと2つ、記事になっていました。

(9月12日)

さぬきハンバーグ焼き うどんを混ぜて「香川らしさ」提供(カフェ「瀬し香」)

 …(前略)フードメニューにも「香川らしさ」を求めて開発したものが多い。中でも、ハンバーグに短く刻んだうどんを混ぜた「さぬきハンバーグ焼き」は、食べながら“香川トーク”が弾みそうな一品。…(以下略)

(11月6日)

うどんの恵方巻き販売(イオン)

 イオンは立冬前日の6日、秋の節分のオリジナルの恵方巻き「讃岐うどんと天ぷらの太巻」を同日限定で販売する。季節の分かれ目を意味する節分は、立春、立夏、立秋、立冬の前日のことで、年4回あることに注目。その年の恵方に向かって食べる「恵方巻き」の認知度が高まっていることから、季節行事の新しい楽しみ方として今夏から全国各地の名物を取り入れたオリジナルの太巻きの販売を始めた。「讃岐うどんと天ぷらの太巻」は、うどんとちくわ天をネギと天かすを付けたシャリ(酢飯)で巻いたもので、希望小売価格は398円。(以下略)

 節分が年4回あるとは、勉強になりました。続いて、うどんとセットで商品販売を打ち出した事例が2つ紹介されていました。

(10月28日)

さぬきの青ネギ、うどんとセット販売

 讃岐うどんの薬味として欠かせない青ネギ。讃岐うどんは全国区となったが、香川が青ネギの一大産地であることはあまり知られていない。そこで県農協は、県産青ネギをうどんとセットで売り出すユニークな販売促進に取り組んでいる。うどんの知名度を生かし、「香川はうどんに欠かせない青ネギの産地でもある」と印象づける作戦だ。…(以下略)

(11月27日)

香川の食文化もっと発信 旅館組合などが会設立 うどん、地酒メーンに

 さぬきうどんや地酒を中心に県内の食文化をもっと全国へ発信しようと、県内の旅館組合などが26日、「うどんに合う酒を考える会」(仮称)を設立した。…(中略)…同会は、高松ホテル旅館料理協同組合や本場さぬきうどん協同組合、県酒造組合など9団体で構成。…(以下略)

 農協もホテル組合も酒造組合も「うどんとのコラボ企画」を打ち出してきました。香川県内の異業種の組合や団体も、プロモーション企画に「讃岐うどん」は欠かせない切り口になってきました。続いて今度は、香川の伝統工芸と「うどんの丼」がコラボした商品も登場。

(9月26日)

鬼にうどん“最強タッグ” 道の駅「むれ」でうどん鉢販売

 県の伝統工芸品の一つ「装飾瓦」の技法を用いて製造されたうどん鉢「鬼瓦・さぬきうどんの器」が、高松市牟礼町の道の駅「源平の里むれ」で販売されている。表情豊かな鬼の顔をあしらった器で、香川の伝統工芸や讃岐うどんをアピールする新たな特産品として注目を集めている。

 名物の讃岐うどんを新たな視点でPRしようと同駅が企画。装飾瓦の県伝統工芸士、神内俊二さん(59)に「魔除け」として使われる鬼瓦をモチーフにしたうどん鉢の製作を依頼し、約1年かけて製品化した。うどん鉢は直径約17センチ、高さ約10センチで、瓦の粘土を使用。器を支える4本の脚は鬼の角とキバからなり、鉢を持ち上げると鬼の顔が現れる仕組みになっている。…(以下略)

 鉢の底が鬼の顔になっているので、正確には鉢をひっくり返さないと鬼の顔が見えませんが、食べてる時にはひっくり返せない(笑)。あと、ちょっと重いのも難点ですが、これは実用品というより工芸品なので、そこのところはヨロシク(笑)。

讃岐うどんマニアが大阪で讃岐うどんイベントを開催

 続いて、讃岐うどんマニアの青年が、大阪で讃岐うどんの人気店を集めた「うどんファンタジスタ2010」というイベントを開催しました。

(9月28日)

本場のうどんを日替わりで提供 大阪・ファンタジスタ

 「本場の本物が味わえる奇跡の7日間」をキャッチフレーズに27日、大阪・難波のうどん店で香川など5都道府県7店舗のこだわりうどんを日替わりで提供する「うどんファンタジスタ2010」が始まり、初日から多くの人たちが本場の味を堪能した。催しは、麺通団京都支部長の別府護さん(35)らが企画。…(中略)…初日は三豊市山本町のうどん店「SIRAKAWA」が地元産のタコ竹輪とエビ竹輪の天ぷらをトッピングしたぶっかけうどんを販売。…(中略)…20日に「よしや」(丸亀市)、1日には「日の出製麺所」(坂出市)のうどんを提供する。

 主催したのは、讃岐うどんマニアの世界では知る人ぞ知る有名人の別府君。新聞には「麺通団京都支部長」という重々しい肩書きで紹介されていますが、そもそも「麺通団」はそんな大層な組織でも何でもないただのマニアックな讃岐うどん探検隊で、メンバーも別に固定されていたわけではなく、会合すら開かずにみんな勝手に讃岐うどんで遊んでいるだけで、別府君はそんな仲間の一人で「京都に住んでいる」というだけの理由で団長から「京都支部長やの」と勝手に言われただけです(笑)。しかし、そんな讃岐うどんマニアが香川の人気店を大阪に呼んで実演販売イベントを開催するということが、讃岐うどんブームの底知れぬ広がりとエネルギーを象徴的に表していると言えるでしょう。

 こうして見てくると、平成12年(2000)頃に最初のピークを迎えた「讃岐うどん巡りブーム」は、まず「うどん店の売上アップ、新しいうどん店の増加」という業界の“メイン素材”が活性化し、連れてその周辺の“サブ素材”である「うどん関連イベントの開催」とか「うどん関連商品の開発」等々が続くという、プロモーションが成功した時のセオリー通りの展開が起こっていることが、改めてわかります。

「うどん県」の文字が初めて新聞に載る

 そして、この翌年の平成23年10月に香川県が「うどん県」宣言をするわけですが、実はこの年の4月1日、四国新聞の1面コラム「一日一言」に「うどん県」という言葉が出ていました。

(4月1日)

コラム「一日一言」

 思いきったものだ。財政難の県は、県営球場などに続き、県の名称「香川」を企業に売却する方針を固めた。既にインターネット検索大手グループと合意しており、今日記者会見を行う。グーグルは2月、光ファイバー網を試験的に敷設する事業を発表、全米の自治体に応募を呼びかけていた。県もダメもとで問い合わせたところ、「敷設は対象外だが、創業者の曾祖父が香川出身との縁から、命名権なら応じる」との回答を得た。使用料は年額数十億円で、数年後には経営権も対象にする。詳しくは社会面に…

 というのはもちろん作り話。今日は4月1日、エープリルフールだ。「うどん県」と揶揄されることはあっても、「グーグル県」になる予定は現時点で全くない。…(以下略)

 エイプリルフールの“ない話”の中に出てきましたが、「『うどん県』と揶揄されることはあっても…」とあるように、この頃、前出の「香川の家は水道の蛇口からうどんのダシが出る」という話と同様に、香川県のことを「あそこはもう『うどん県』にしたらええんちゃうん」とかいうネタが一部で出回っていました。筆者もラジオでネタにしたこともありますし、ある会合で「香川が県名を『うどん県』にしたら全国ネットで絶対話題になると思いますけど、さすがにそれは無理でしょうねえ(笑)」と発言して一笑されたこともありますが、この1年後に、本当にやっちゃいました(詳細は「平成23年」で)。

 あと、ちっちゃいことですが、この年から丸亀お城まつりと高松まつりの「うどん大食いイベント」がなくなったみたいです(新聞に載っていた祭のプログラムには、丸亀お城まつりの「素人手打ちうどん“味”自慢大会」のみがありました)。

「大衆セルフ店」のオープン広告が5本

 うどん関連広告の本数は引き続き低調ですが、この年は例年1~2本しかなかったオープン広告が5本も載っていました。しかもすべて、いわゆる「大衆セルフ店」ばかりで、香川のうどん店は、この頃から明らかに「大衆セルフ店」が勢いを増しています。

 ブームを牽引した「製麺所型店(玉売りが発祥の店)」は、うどんの玉売りが衰退する時代にあって構造的に増えることはありません。従って、ブームで増えた客を吸収するのは必然的に「一般店」と「大衆セルフ」、そして、新しく出てきた「職人型セルフ」(修業した職人が独立して始めたセルフ店)になるわけですが、中でも店舗展開をしやすいのが、“修業を積んだ職人”をそれほど必要としない「工場生産型」、あるいは「マニュアル生産型」の「大衆セルフ」だということでしょう。

 うどん店の新聞広告本数は61本。相変わらず低調のままです。

<県内うどん店>
【高松市】

「愉楽家」(高松市林町)………………4本
「さぬき麺業」(高松市松並町)………3本
「郷屋敷」(高松市牟礼町)……………1本
「もり家」(高松市香川町)……………1本
「池上製麺所」(高松市香川町)………1本
「はな庄うどん」(高松市香川町)……1本
「エコぽん太」(高松市松島町)………1本 11月7日オープン
「さぬきや」(高松市塩上町)…………1本
「山田家」(高松市牟礼町)……………1本
「明石家」(高松市丸亀町)……………1本
「綿谷」(高松市南新町)………………1本 11月5日オープン
「さか枝うどん」(高松市番町)………1本
「うどん棒」(高松市亀井町)…………1本
「松下製麺所」(高松市中野町)………1本
「たも屋勅使店」(高松市勅使町)……1本 12月10日オープン
「さぬき麺市場」(高松市郷東町)……1本 9月11日オープン

【東讃】

「六車」(東かがわ市湊)………………2本

【中讃】

「めりけんや」(宇多津町)……………4本
「せい麺や」(善通寺市)………………2本
「てっちゃん」(坂出市西庄町)………2本 5月15日新装オープン
「いきいきうどん」(坂出市京町)……1本
「日の出製麺所」(坂出市富士見町)…1本
「塩がま屋」(宇多津町)………………1本
「まごころ」(丸亀市蓬莱町)…………1本
「小縣家」(まんのう町)………………1本

【西讃】

「将八」(観音寺市他)…………………1本
「フジうどん」(三豊市仁尾町)………1本
「だいくや」(三豊市高瀬町)…………1本

<県内製麺会社>

「久保田麵業」(宇多津町)……………14本
「藤井製麺」(三木町)…………………2本
「日糧」(三豊市詫間町)………………1本
「合田平三商店」(観音寺市豊浜町)…1本
「おおみね」(土庄町)…………………1本

<その他うどん業界>

「讃岐うどん技術研修センター」(三豊市高瀬町)2本
「さぬきうどん協同組合」………………1本

(平成23年に続く)

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