「讃岐うどん巡りブーム」が第一次ピークを迎える
1997年から1999年にかけて全国ネットの雑誌とテレビが「穴場讃岐うどん巡り」を爆発的に取り上げ始めたことで(「平成10年」「平成11年」参照)、讃岐うどん巡り客は激増。ブームの牽引者となった「がもう」「山越」「谷川米穀店」「宮武」「山内」「なかむら」等の田舎の人気製麺所型うどん店では、週末や連休になると大行列ができるのが当たり前の光景になり、2000年に入ると「讃岐うどん巡りブーム」は第一次のピークを迎えました。
この年に発行された全国ネット旅行情報誌はほぼ全て、「香川県」の紹介ページの冒頭に「讃岐うどん巡り」の特集を組み、「讃岐うどん巡り」は香川観光の中心的コンテンツとして完全に定着しました。また、テレビのグルメ番組やレジャー番組でも讃岐うどんが盛んに取り上げられ始め、讃岐うどんはそれまでの“郷土料理”としての知名度に加え、“バラエティー・コンテンツ”としても一気にメジャーになってきました。
全国雑誌では、7月に女性向けライフスタイル誌『ラ・セーヌ』が讃岐うどん特集を掲載。内容は、まず「初級編」として「わら家」「小縣家」「山下(善通寺)」の一般店3軒が紹介され、「中級・上級編」として製麺所型の「宮武」「山越」「なかむら」「谷川米穀店」「彦江」の5軒と大衆セルフ型の「さか枝」と「中野うどん学校」を体験レポート。合わせて『恐るべきさぬきうどん』も紹介され、明らかに「製麺所型店」がメインに組まれています。
さらに、12月に発行された人気グルメ漫画『美味しんぼ』の単行本の中のコラムに、『恐るべきさぬきうどん』が取り上げられました。
『恐るべきさぬきうどん』という、おどろおどろしい題名の本を発見したのだ。
(前略)…地方出版の専門店で、高松市で発行された『恐るべきさぬきうどん』という、おどろおどろしい題名の本を発見したのだ。…(中略)…1巻と2巻、2冊とも買ってしまったが、この本の中身は題名を裏切ることがなかった。書かれてあることは、香川県にある「タウン情報かがわ」という雑誌の編集者とその周辺の人たちで「ゲリラうどん通ごっこ軍団(略称麺通団)」という部隊を編成して、香川県各地のうどん屋を襲撃して食べ回った記録なのだが、読んでただひたすら敬服。香川県の人間がうどんに如何に熱意を燃やしているのか、しこたまわかるのだ。また、訪ねるうどん屋が、おいしい店に限って辺鄙なところにあって、小屋か納屋か工場かというたたずまいで、ダシがどうのこうのと上品なことは言わない。茹でたうどんをどんぶりにとってもらって、後は薬味を入れるのも味を付けるのも客が勝手にするなどという店ばかり。これが、読んでいるだけでよだれが出そうにおいしそうなのだ(この本は絶対お勧め)。…(中略)…
さっそくその本を手に香川に殴り込みをかけようと思っているのだが、未だ機熟さず、果たしていない。でも、必ず行くぞ。私のわずかな経験でも、讃岐うどんは確かに美味しい。大阪の人間は恋の告白もうどんを食べながらするくらいうどんが好きなようで、東京のうどんの悪口を言うが、大阪のうどんは、讃岐うどんに比べたら負けてまっせ。…(以下略)
『恐るべきさぬきうどん』は平成11年(1999)に第4巻まで発行されていましたが、それが天下の『美味しんぼ』に見つかったようで、「本を持って必ず讃岐うどん巡りに行くぞ」とまで書かれていました。改めて、『恐るべきさぬきうどん』が多くの人を衝撃的に動かしたことが窺えるコラムです。
では、そういう状況を踏まえて、2000年の四国新聞に載ったうどん関連記事を拾っていきましょう。
県が「さぬきの夢2000」の品種登録を出願
1991年に開発に着手したと言われる新しい香川県産小麦がこの年、「さぬきの夢2000」という名前で県から品種登録出願されました。まずは3月、「さぬきの夢2000」の名称が付く前に行われた、新品種小麦で作ったうどんの試食会の記事から。
讃岐うどんに”新素材” 県産小麦を開発 高松で試食会
讃岐うどんに”恐るべき新素材”。県がうどん用に開発した2種類の新品種小麦を使った試食会が30日、高松市内のうどん店であった。2品種とも、うどん通の出席者から「コシがある」「輸入小麦に負けない」と高い評価を受け、今夏にも県内のうどん店でモニター販売することが決まった。試食会は、県産の農水産物の加工利用を促進し、農業や食品産業の振興を図る「県地域食品産業高度化推進協議会」が開いた。現在、うどんに使用している小麦の大半が輸入小麦という現状を踏まえ、県の”顔”であるうどんに適した県産小麦を開発、小麦の生産振興や製麺業界の活性化に役立てるのが狙い。
協議会には、大久保農林水産部長や食品製造関係者ら約20人が出席した。県農業試験場の研究員が、新たに開発した小麦「香育7号」と「香育8号」の開発の過程や品質の高さを説明した後、それぞれの品種を使って打ったうどんを試食した。出席者からは「これまでの国産小麦にはない、色や風味、コシがある」などと評価。7号は「昔風の味」、8号は「今の味」と違いもあり、商品としての価値には太鼓判を押したが、面積あたりの収穫量の少なさや、生産コストなどについての課題が指摘された。
3月の時点では、新品種の県産小麦の名前はまだ「香育7号」と「香育8号」です。7号は「昔風の味」、8号は「今の味」だそうですが、文面からするとおそらくこれは記者の感想ではなく、“主催者発表”でそう説明されたのだと思います。ちなみに、関係者の間では7号も8号も「面積あたりの収穫量と生産コストに課題がある」ものの、品質は“うどん通の出席者”から「これまでの国産小麦にはない色や風味やコシがあり、輸入小麦にも負けない」と太鼓判を押されていたようです。
そして、これを受けて香川短大の北川学長がコラムを書かれていました。要点を小分けにして見てみましょう。
しかし、小麦は政府貿易で、当時食糧庁がトン当たり約3万円で輸入した小麦を8万円ほどで製粉会社に売り、14万円ほどで農家から買い上げた国産小麦を5万円ほどで払い下げていた。従って、国産小麦は輸入品より約3万円安かったが、品質が劣るのでうどん屋は使いたがらなかった。当時の県産小麦の品種はセトコムギであったが、平成2年に1万6000トンのセトコムギを買い上げた食糧庁が製粉会社から購入希望を募ったところ、200トンしか申し込みがなかった。このことからも品質の程度は想像がつくであろう。私のコラムのコピーは県議会議員にも配布されて、当時の農林水産部長は「これは事実か」と詰問されたそうである。
北川先生がそれまでの「さぬきうどん研究会」をはじめとする権威筋の「県産小麦礼賛ムード」に一石を投じるコラムを掲載したのは平成3年(「平成3年」参照)。その後、業界等からずいぶん悪者扱いされたとのことですが、「99%がオーストラリア産」という「ファクト(事実)」の指摘に対して「讃岐うどんにケチを付けるのか」という情緒で反論する人や「輸入小麦が安いから使うのだ」という「ファクト」を調べもせずに思い込みをさも事実かのように主張して反論する人が出てくるのは、ネットやSNSが普及する前から同じような現象だったんですね(笑)。しかしさすが北川先生、それらにも「製粉会社では輸入小麦はトン8万円、国産小麦はトン5万円」と、きちんと「ファクト」で誤解を解いておられます。ちなみに、「讃岐うどんの小麦はほとんどがオーストラリア産」という重要な事実を、県の農林水産部長は知らなかったみたいです。
これも平成3年のコラムにありましたが、以前にも触れたように、今日まで讃岐うどん用小麦として圧倒的なシェアを占める「ASW(オーストラリア・スタンダード・ホワイト)」の開発は、讃岐うどんの歴史において最大級のトピックです。でも、その開発物語が今、讃岐うどん界のどこにもありません。筆者は昔、讃岐うどん業界のある方が「私がASWの開発に協力した」とおっしゃっていたのを聞いたことがあるのですが、その方はちょっとマユツバな話をよくする方だったので(笑)、今ひとつ事実関係に確信が持てません。どなたかぜひ、「ASW開発物語」の発掘に取り組んでいただければ幸いです。
先の記事で「3月30日に県地域食品産業高度化推進協議会」が開いた試食会で香育7号と香育8号で作ったうどんが出された」とありましたが、北川先生のコラムでは「香育7号が選抜された」とあります。8号はいつの間に消えたのでしょう。そして3カ月後に出た「一日一言」でも、「香育7号」だけが取り上げられていました。
コラム「一日一言」
うどんマニアの期待が「香育7号」に集まっている。関係者の夢だった県産オリジナル小麦が10年の研究を経てついに完成した。その風味豊かな味わいは「21世紀の讃岐うどん」と期待されている。一体どんな味なのか、残念ながらまだ食べていないので紹介できないが、すでに試食した香川短大の北川博敏学長が誕生までの経緯を2日付け本誌「論点香川」で紹介し、その「素晴らしい味」に太鼓判を押した。
学長の指摘通り、従来の讃岐うどんに県産小麦は使われなかった。いや、「使われないからおいしい」と言われるほど県産小麦はまずかった。その美味を支えていたのは、うどんを徹底研究したオーストラリア産ASW種だ。そんな現状を憂えて県農業試験場がうどん用小麦の品種改良に挑戦したのは平成3年。新品種にはトウモロコシを利用したバイオ技術が使われたが、わずか3人の研究員でわずか10年で、この成果は驚異的なことらしい。…(中略)…
オリジナル品種の誕生は讃岐うどんに明るい展望を開いた。しかし、手放しで喜んでいては迷路に入る。他県に真似のできないオリジナル品種を獲得した結果、気取った文化財的うどんが主流になっては、もはや未来はない。讃岐うどんが全国ブランドになった理由は味だけではない。おいしくて「安いうどん」に業者が努力を怠らず、それを応援する県民がいたからこそ、全国を驚かせる多彩なメニューと味わいが生まれた。最近うどんは値上がり傾向、危険信号。それにつけても香育7号。早く食べたい。
「うどんマニアの期待が香育7号に集まっている」とのことで、「香育8号」は完全に消えていました。この「香育7号」が、後に「さぬきの夢2000」になるわけですが、先の記事中に「香育8号」は「今の味」で「香育7号」は「昔風の味」とありました。そして、採用されたのは「昔風の味」の方の「香育7号」ですが、「昔の県産小麦はまずかった」という話が何度も出てきているのに、「今の味」の「香育8号」ではなくて「昔風の味」の「香育7号」が採用されたというのはどういうことなのか、そのあたりの説明はどこにも見つからないまま、「香育7号」への関係者の期待は高まっています(笑)。
そしていよいよ、「香育7号」に「さぬきの夢2000」という名前が付けられました。
讃岐うどんは県産小麦で 県農業試験場、農水省に品種登録出願
讃岐うどんは県産小麦で。県農業試験場が讃岐うどんに適する独自の小麦の品種改良に成功、県が29日、「さぬきの夢2000」として品種登録を出願した。今年11月に20~30ヘクタール規模の栽培を始め、翌年6月頃収穫する。13年以降については、需要に応じて作付面積を拡大、本格的な販売は14年になる見通しだ。
県によると、国内産小麦は「色が黒ずむ」「コシが長持ちしない」などの欠点があったため、讃岐うどんに使われる小麦は昭和40年代から輸入品が増え、今ではオーストラリア産(ASW)が9割を超える。こうした実態を踏まえ、業界や消費者から県の独自品種を使った「本格讃岐うどん」の商品化を望む声が挙がり、同試験場が平成3年度から品種改良に取り組んでいた。新品種は、うどんの食感が良好な「西海173号」を母に、うどんの色に優れる「中国142号」を父に交配。トウモロコシの花粉を使ったバイオテクノロジーの手法(半数体育種法)を用いたことで、従来は十数年かかる育成機関を8年程度に短縮できた。
製麺業者らによるゆで・半生・乾燥うどんでの食味試験の結果、ASWを主体とする標準品と比べ、「明るい淡黄色でつやがあり、食感のバランスに優れている」と総合的に高評価を得た。県内で栽培されているチクゴイズミなどと比較しても、粘弾性や味、香りの面で優れている。コスト面は、輸入品より割高になるという。品種登録までには通常3年程度かかる。今後、契約農家を増やし、本格販売につなげたい考えだ。県は「県産小麦100%のうどんで付加価値を付けるとともに、販売拡大に力を入れたい」と新品種に期待している。
ということで、新聞に載った「さぬきの夢2000」は、当初の計画は、
●平成12年(2000)9月29日、県が「さぬきの夢2000」という名称で国に品種登録を出願。品種登録の確定には通常3年ほどかかる。
●平成12年(2000)11月、20~30ヘクタール規模の栽培を始め、平成13年(2001)6月に収穫の予定。
●平成14年(2002)、本格的な販売開始予定。
とのこと。そして特徴や評価は、
●「昔風の味」。
●明るい淡黄色でつやがあり、食感のバランスに優れている。
●これまでの国産小麦にはない、色や風味、コシがある
●既存種のチクゴイズミなどに比べて、粘弾性や味、香りの面で優れている。
●コストは輸入小麦より割高になる。
●面積あたりの収穫量が少ない。
という概要のようです。先述のように、「昔の県産小麦はまずかった」という評判なのに「昔風の味」の方を採用したり、当初の目的が「オーストラリア産ASWに対抗する」だったのに「これまでの国産・県産小麦と比べた評価」ばかりが並んでいたりしますが、“めでたいこと”には少々のことは目をつむるのが日本人(笑)。商業的に成功するかどうかは、これからのマーケットに判断を委ねることになります。
四国新聞と西日本放送が「うどん遍路」の情報発信を開始
「讃岐うどん巡りブーム」の黎明期に“状況を静観していた”地元メディアの両雄「四国新聞」と「西日本放送」が、ブーム最盛期に入った2000年になって、讃岐うどんの店を紹介する「うどん遍路」企画を開始しました。四国新聞と西日本放送はいわゆる「クロスオーナーシップ(相互所有)」のメディアなので、両社の連動企画としてスタートです。
「讃岐うどんナビ」登場 iモード、あす新サービス開始
四国新聞社は10月3日からNTTドコモ四国の携帯電話情報サービス「iモード」の「四国新聞ニュース」で、県内うどん店を紹介するコーナーを設ける。「ナビ」の名称通り、地域や店の種類、家族連れなどの別で検索、休日から店への目印、近隣地図が画面に出てくる仕組みで、当初、30店のスタートだが、順次店数を拡大する。…(以下略)
四国新聞ウイークリー生活情報「オアシス」(毎週金曜発行)の10月6日号から始まるうどんコーナーのタイトルは「讃岐うどん遍路」。店の雰囲気を伝える店構えや目玉メニューのカラー写真、地図、そして機知あふれる文章など、うどんの大盛りなみのボリュームで、毎週2~5軒の人気メニューを順次紹介していく。…(以下略)
テレビの西日本放送(RNC)は夕方のニュース番組「ニュースプラス1」の中に毎週金曜日、「植松おさみの特選うどん遍路」と題したコーナーを設ける。こちらも10月6日からのスタート。自他共に「うどん通」を認める植松アナがその日にオアシスで紹介した店の1店を独自の切り口で紹介していく。植松アナは「讃岐うどんは今や全国版。ただただおいしいうどんを求めて、うどん職人の皆さんがなぜ、何に、どうこだわっているかを取り上げたい」と張り切っている。
ほぼ同時に始まったのは、次の3つの「うどん情報発信」企画。
●四国新聞が、ドコモの携帯電話情報サービス「iモード」の「四国新聞ニュース」内でうどん店の情報発信を開始。
●四国新聞の週刊生活情報紙「オアシス」(タブロイド判)が、うどん店を順次紹介する「讃岐うどん遍路」の連載を開始。
●西日本放送が、「ニュースプラス1」の中で「植松おさみの特選うどん遍路」の週一放送を開始。
「讃岐うどん巡りブーム」は製麺所型穴場うどん店を巡る「グルメレジャー」的な視点から起こったものですが、「四国新聞」と「オアシス」は特に穴場うどん店に軸足を置かない「既存讃岐うどん店の再発見」的な視点、西日本放送は植松おさみさんの人柄と語り口調を生かしてうどん店の人や技術に迫るという視点での企画です。ピークを迎えた「穴場讃岐うどん巡りレジャー」は、こうして多角的な視点から、じわりと次のステージに進んでいくことになります。ネットやSNS全盛の時代は、まだです。
高松まつりの「うどん早食い選手権大会」が「うどリンピック」に模様替え
これまで、丸亀お城まつりの「さぬきうどん早ぐい・大ぐい競争日本一決定戦」と高松まつりの「さぬきうどん早ぐい・大ぐい選手権大会」が「県下2大うどん早食い大会」でしたが、この年から高松まつりの早食い大会が「うどリンピック」と名称を変えて路線変更しました。
競技内容は、長い菜ばしを使って2玉の早食いをする「ロングチョップスティック」、ペアで二人羽織で1玉を早食いする「二人羽織」、個人戦5玉、団体戦10玉の早食いをする「たらいにtry」の3種目。ネーミングはさておき(笑)、一応それぞれ「早食い」の形になっていますが、「チャンピオン決定戦」というより「ちっちゃいアトラクション」の方向に向かっているみたいです(笑)。
みとよJCがオリジナルうどんコンテストを開催
続いて、みとよ青年会議所が詫間町で「創作うどんコンテスト」を開催しました。結果報告が記事になっていなかったので、案内記事だけ紹介します。
自慢の新メニュー考えて うどんコンテスト出場チームを募集(みとよJC)
あっと驚く新しい讃岐うどんを考えて。みとよ青年会議所は、8月20日に詫間町のマリンウェーブで開くオリジナルうどんコンテスト「おらがUDON自慢」の出場チームを募集している。アイデアから調理、盛り付けまで、5~6人のチーム対抗戦。第一次審査は一般審査員50人が行い、「おもしろい」「おいしそう」「珍しい」の他、香りやアイデアなど視覚的な観点から上位5チームを選出。二次審査では審査委員長のタウン誌編集長田尾和俊ら5人が試食し、各賞を決定する。…(以下略)
これまたネーミングはさておき(笑)、これまで、飯山の「どぜう汁大会」や長尾町の「どじょ輪ピック」といった「創作どじょううどん」のコンテストはありましたが、普通の「うどん」メニューの創作うどんコンテストは新聞には初出かもしれません。筆者が審査委員長だったそうですが内容を全く覚えていないので(笑)、後日コラムで触れられていた内容をご確認ください。
コラム「取材こぼれ話」…多彩なうどんコンテスト
(前略)…県民食とも言えるうどんを用いたコンテストが各地で行われているが、この夏は特にユニークなものが多かった。夏祭りなどでの早食い、大食い競争はもはやポピュラーなものとなっている。高松まつりでは今年、早食いコンテストを「二人羽織」で行ったり、長い箸を使うなど、例年にない工夫を凝らした。また仁尾町では、ストローでうどんを吸い上げて食べる競争が登場した。
一番注目されたのが、8月に詫間町で開かれたオリジナルうどんコンテスト、その名も「おらがUDON自慢」。初めは「参加者が集まらないのでは」と主催者側も心配していたが、当日は10チームが出場。カボチャを材料に用いた観音寺中央高校チームが見事優勝を果たした他、「白くて太い」というイメージを覆す作品が続出。イベントは大いに盛り上がった。…(以下略)
この年行われたうどんイベントの中で創作うどんコンテストが「一番注目されたイベント」だったそうですが、内容を覚えてなくてすみません(笑)。
善通寺工業クラブが「牛乳うどん」を発売
善通寺市内の食品製造業者などで組織する「善通寺工業クラブ」が、どこかで聞いたことのある「牛乳うどん」を発売しました。
牛乳うどん発売 カルシウムは通常の8倍(善通寺工業クラブ)
善通寺市内の食品製造業者などで組織する「善通寺工業クラブ」は、カルシウムを豊富に含む「牛乳うどん」を4月から発売した。高齢者向け健康食品の開発を進めている同クラブの第1弾商品で、「骨粗しょう症の予防に役立つ」としている。…(中略)…「牛乳うどん」は水の代わりに牛乳を使用。通常のうどんの約8倍のカルシウムを含み、うどん120グラム(1玉)で牛乳10ミリリットルの栄養分が摂取できる。…(以下略)
「牛乳うどん」は昭和55年に大川農協酪農婦人部が試作したのが始まりで(「昭和55年」参照)、その後、大川農協で普及活動が行われていたようですが、今ひとつ市場には受け入れられませんでした。その“うまくいかなかった経緯”を知ってか知らずか…の再登場です。
「町川うどん」で修業した韓国人が、ソウルで讃岐うどん店をオープン
続いて、讃岐うどんが韓国に進出です。
ソウル市内に讃岐うどん店 韓国の実業家が出店 坂出でのバド交流が縁
バドミントンによる日韓交流が縁で讃岐うどんの魅力に取りつかれた韓国人実業家が、ソウル市内に今月下旬、讃岐うどん店をオープンすることになり…(中略)…出店するのはソウル市内のスポーツ用品メーカー社長のミン・ハイホンさん(51)。…(中略)…店はソウル市内の学生街にある4階建て自社ビルの1階。店名は坂出市の白峰山に伝わる相模坊伝説から「天狗うどん」と命名。…(中略)…うどん作りは、ミンさんが来県の際に通っていた坂出市青海町の「町川うどん」の町川欣司さん(39)の下へ兄夫婦らを派遣し、一から修業させた。うどん作りに韓国の硬水が合わないこともわかり、水やダシにも工夫を凝らした。…(以下略)
「町川」で修業した人がソウルで開業した、その名も「天狗うどん」。海外で出店した讃岐うどんの店は、新聞にはここが初出です。
「桐生うどん会」が香川を視察
群馬県桐生市の「桐生うどん会」のメンバーが、讃岐うどんの視察に訪れました。
うどんの本場“敵”情視察 桐生の店主来県 人気の秘密探る
本場の味、いざ勝負。関東有数のうどん処として知られる群馬県桐生市の「桐生うどん会」のメンバーが4日に来県し、県内のうどん店数軒を視察。昼時に客でごった返す各店の雰囲気に驚きながら、麺のコシやダシの風味など讃岐うどんの秘密を探った。
桐生市は人口約12万人で130軒のうどん店、製麺所があり、人口あたりの店舗数では高松市を上回るほど。同会は、桐生商工会議所の地域活性化事業の一環として10年9月に結成され、うどん店経営者ら30人で構成している。今回、全国的に有名な讃岐うどんを研究し、桐生うどんの今後のPR戦略に生かそうと視察旅行を初めて企画。会長ら14人が1泊2日の日程で来県した。高松空港に到着した一行はさっそくうどん店巡りをスタート。綾上町のうどん店兼製麺所を皮切りに、満濃、琴平、善通寺、坂出の6店舗を次々と回った。
敵情視察とあってメンバーの表情は真剣そのもの。「釜あげ」や「生じょうゆ」など各店自慢の品を注文し、じっくり味わいながら、腰の強さやダシの風味などを寸評していた。また、メンバーが一様に驚いていたのは客の多さ。会長は「セルフサービスによる値段の安さに加え、うどんが生活に密着している」と分析し、「大いに参考にして、将来は東の桐生、西の讃岐と呼ばれるようにしたい」と話していた。
群馬県のうどんと言えば、香川の讃岐うどん、秋田の稲庭うどんと並んで「日本三大うどん」と言われている水沢うどん(伊香保町)が知られていますが、そっちではなくて、平べったい「一反木綿」みたいな形状の「ひもかわ」でおなじみの「桐生うどん」の方です。讃岐うどんブームは、県外の同業者が視察に来るほどの存在になったということです。
広告本数は依然低調
この年のうどん関連広告の本数は88本。90年代前半には年間300本を超えていたのですが、ここ2年続けて80本台にまで減りました。しかも、そのほとんどが“お付き合い”の協賛広告で、単独の広告出稿は大手の「かな泉」と「さぬき麺業」などの数本しかありませんでした。一方、「TJ-Kagawa」発行の『さぬきうどん全店制覇』調べによると、2000年もブームの追い風を受けて新規うどん店が30軒近くオープンしていましたが、新聞でオープン広告を出したのはそのうち3軒だけ。ここ数年、うどん店の新聞広告に対するスタンスが明らかに変わってきたようです。
<県内うどん店>
【高松市】
「かな泉」(高松市大工町他)…………9本
「さぬき麺業」(高松市松並町他)……8本
「はすい亭」(高松市松縄町他)………3本 2月15日番町店オープン
「さぬきうどん」(高松市栗林町他)…2本
「うどん棒」(高松市亀井町)…………1本
「丸川製麺」(高松市中新町)…………1本
「松下製麺」(高松市中野町)…………1本
「秀」(高松市八坂町)…………………1本
「植田製麺所」(高松市仏生山町)……1本
「中北」(高松市勅使町)………………1本
「てら屋」(高松市檀紙町)……………1本
「北山うどん」(高松市鬼無町)………1本
「ヨコクラうどん」(高松市鬼無町)…1本
「さぬきや」(高松市塩上町)…………1本
「さか枝」(高松市番町)………………1本
「丸山製麺」(高松市宮脇町)…………1本
「根っこ」(高松市内町)………………1本 7月28日内町店オープン
「いしうす庵」(高松市新田町)………1本 11月21日屋島店オープン
「讃岐っ子」(高松市多賀町)…………1本
【東讃】
「寒川」(三木町)………………………3本
「権平うどん」(白鳥町)………………1本
「吉本食品」(大内町)…………………1本
「郷屋敷」(牟礼町)……………………1本
「宝山亭」(香南町)……………………1本
「入谷製麺」(長尾町)…………………1本
「つゞみ屋」(牟礼町)…………………1本
「六車」(白鳥町)………………………1本
「味呂」(庵治町)………………………1本
【中讃】
「めりけんや」(宇多津町)……………3本
「いきいきうどん」(坂出市京町)……1本
「山下うどん」(坂出市加茂町)………1本
「まごころ」(丸亀市蓬莱町)…………1本
「サヌキ食品」(綾歌町)………………1本
「こんぴらや」(琴平町)………………1本
「夢咲亭」(綾南町)……………………1本
「まえば」(綾歌町)……………………1本
【西讃】
「渡辺」(高瀬町)………………………1本
【島嶼部】
「甚助」(土庄町)………………………1本
<県内製麺会社>
「石丸製麺」(香南町)…………………4本
「藤井製麺」(三木町)…………………3本
「こんぴらや」(琴平町)………………2本
「日糧」(詫間町)………………………1本
「冨田屋」(高松市川部町)……………1本
「久保田麵業」(綾歌町)………………1本
「大庄屋」(琴平町)……………………1本
「大山製麺」(大川町)…………………1本
「多鶴田家」(長尾町)…………………1本
「木下製麺」(寒川町)…………………1本
「麺匠房」(宇多津町)…………………1本
「大喜多製粉所」(宇多津町)…………1本
「大島製麺」(高松市太田上町)………1本
<県内製粉会社>
「吉原食糧」(坂出市林田町)…………2本
「木下製粉」(坂出市高屋町)…………1本
<その他うどん業界>
「香川県生麺事業協同組合」……………3本
「中野うどん学校」(琴平町)…………1本
「綾南町うどん会館」(綾南町)………1本
「さぬき麺機」(高瀬町)………………1本