香川県民のさぬきうどんの記憶を徹底収集 さぬきうどん 昭和の証言

高松市北浜町・昭和13年生まれの女性の証言

塩を入れずに打つ?

(取材・文:

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  • vol: 36
  • 2015.07.10

塩を入れずに打つ?

私、昔はあんまりおうどん好きでなかったんよ。でも父が戦争行く前に、大きいカメにいくつもお砂糖やいろんなものを入れて、土に埋めていってくれたから、お砂糖がないような時でもわりあい不自由せんかったな。小麦粉もその中にあったんかしら、粉を製麺機のある民家に持って行って、打ってもらいよった。そういうおうどんは、だいたい煮込んで食べるん。終戦直後の頃やね。

おうどん屋さんに行くいうたら、もうほんまに、たまに。すうどんに小さいお揚げが乗って、ナルトとネギで、ラーメンみたいなもんやね。それときつね寿司。私やは打ったことないけど、田舎の人は家で打ついうのは聞いたことあるわ。終戦だいぶ経ってからやと思うけど、家で打って野菜をようけ入れてね。そういう時は、お塩を入れんと水だけで打ったって。塩や入れたら辛うていかん、言うて。

県庁周辺のうどん屋事情

私らの頃、よそでおうどん食べておいしいいうたら、やっぱり「あずまや」やったねえ。あと県庁のはす向かいの角に「四五銭亭」いう食堂があって、そこは洋食やらお寿司やらいろんなものがあって、おうどんもあった。県庁で残業したらそこから出前で取りよったな。もうひとつ、日赤の前に「勉強屋」いうのもあって、そっちはほんまにおうどんとかおそばとかだけの食堂。

今みたいに県庁の西手やらにはあんまりおうどん屋さんなかったと思うな。私が好きだったんは「久保」。あそこのおうどんはほんまにおいしかった! ケチャップのビンに無理矢理穴開けたみたいな入れ物の七味、思い出すわ。

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