香川県民のさぬきうどんの記憶を徹底収集 さぬきうどん 昭和の証言

綾歌郡宇多津町・昭和26年生まれの男性の証言

だしの香りが独特、丸亀の「須美や」

(取材・文:

  • [showa]
  • vol: 153
  • 2016.11.07

 僕が中学生の頃やから50年くらい前か、丸亀の通町にあったうどん屋「須美や」。丸亀の街中でうどん屋いうたら、当時はみんなそこに行きよったんちゃうかな。学校の帰りによう寄ってて、中学生でも食べられる値段やから、かけうどんが30円くらいやった。

 だしの味が独特でね。イリコだしやったと思うけど、魚の臭いでなくて、材木をカンナで削った時に、さーっと木の香りがたつでしょ? あんな感じやったと思う。まずいんでなくてね。あれは家では作れん味やったんで、今でも覚えてる。うちの母が「あれはどんなダシとっとんやろな」て言うてたわ。

 うどん運んでくる時に、おばちゃんの指がよう丼の中に入ってて、「おばちゃん、指入ってる!」言うたら「大丈夫や、熱うない」言うてな、笑い話みたいなんがほんまにあったんで。息子さんの代になって店の場所が変わって、今でもしよるけど、だしの味が違うなぁ。あの味は出せんのちゃうかな。

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