<普段はしっぽく、田植えが終わるとかけうどん>
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昔の話やから詳しいことはよう憶えとらんけど、子供の頃(昭和20年前後)は結構しっぽくうどんを食べたでぇ。大根や田芋、にんじんなんかを具にしてなぁ。毎晩続くこともあったけど、家は農家やったから野菜にはまったく困らなんだ。
しっぽくとは別に、田植えが終わったときにもかけうどんを食べた。田植えは近所の農家と共同で作業をしとって、めいめい(それぞれ)の家の田植えが終わった都度、食べるんや。うどんは、その日に田植えが終わった家の人が作る。忙しい田んぼ仕事の合間にサッと食べるための「まかない飯」やけど、そのときは天ぷらみたいなもんもうどんと一緒に出ることがあったから、それはそれで楽しみやった。
<製麺所に全自動(?)の大きな製麺機があった>
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家ではどっちのうどんを作るときも、麺は近くの製麺所からいつも買うとった。富田に一軒、石田(さぬき市寒川町)にも一軒あったけど、利用しとったんは富田の方。家で作った麦を製麺所へ持って行くと、麺に換えてもらえたんや。おっきな機械が店の中にあって、その機械がうどんの生地を伸ばしたり、練ったり、細長い麺にしたりしとった。
麺はお金でも買えることができたけど、小麦を持って行ったらお金は要らなんだ。その代わりに、小麦をなんぼか余計に取られたはずや。
ちなみに、家には挽き臼があったけど、自分とこで小麦を粉にして麺を作ったことは一度もない。もっと昔の製麺所がなかった頃には、挽き臼を使って作っとったんやろか。当時、「家で麺を作っている」ゆう話は周りからも聞かなんだなぁ。